オフテクをマナボウ「走行ラインを考える! 濡れた路面&コーナー編」|KUSHITANI OFFROAD METHOD 11

“オフテクをマナボウ”では、全日本モトクロス選手権IA1クラスで5度チャンピオンを獲得し、世界選手権にも出場した経験を持つ山本鯨氏を講師に迎え、オフロードバイクのライディングテクニックを学んでいく。

 

#011 走行ラインを考える!② 濡れた路面&コーナー編

これまで、岩や木などの障害物を攻略するテクニックや転倒しないための方法、転倒した時のリカバリー方法を学んできた。そして今回は、これまでと異なる路面状況への対応について。雨が降った後のぬかるみはどう走れば良いのか、また土質を見極めて乗りこなすテクニックを解説していく。

濡れた路面はあえてアクセルを開けて安定させる

オフロードでは晴れの日は乾き、そして雨の日や雨が降った後は水分を含んだ路面となる。つまり、天候によって土質が変わり、ライダーはその路面状況に応じて乗り方やアクセルの開け方を変えて乗りこなしていく必要がある。

実際、乾いた路面ではタイヤがグリップするからといって、ぬかるんだ路面でも同じように勢いよくアクセルを開けたりするとタイヤが滑りやすく、ハンドルも取られやすくなる。このように、バイクのバランスが崩れることは転倒に繋がることはもちろん、乗車時の恐怖感にもつながってくる。では、怖さを感じず、安定して走るにはどうすれば良いのか。それは、直進安定性をどう保つかがポイントになってくる。

直進安定性を保つには、アクセルを開けることが大切だという。例えば、ぬかるみに入る前に怖いと思ってアクセルを戻すと、バイクの重心がフロントタイヤに移行して、ハンドルが取られやすい状況になってしまう。自分にとって怖さを軽減するための行動が、より自分を怖がらせる状況を作っていることになる。一方で、アクセルを開けると重心がリヤ荷重になるため、ハンドルを取られることがなく、マシンも安定していく。スピードを上げることで安定感はさらに上がってくるため、バランスを崩す怖さを感じずにぬかるみを走破することができる。怖くてアクセルを戻すというのは本能的な反応ではあるが、ぬかるみに入る時にブレーキをかけるとさらに安定感がなくなり、アクセルを開けた方が安定するということを頭に入れて、ぜひ実践してほしい。

コーナーはスピードと土質からラインを見極める

直進でのぬかるみの走り方を学んだ次は、コーナーでの走行ラインを学んでいく。山本いわく、コーナーは速度に応じて走る場所が変わってくるという。一体どういうことか。

例えば、速度を保ったままコーナリングしたい場合、スピードが乗っている分コーナーを曲がる時の遠心力が大きくなる。その場合、傾斜のきついアウト側(バンク)を走ることで、コーナーの傾斜を生かしてスピードを殺さずコーナリングすることができる。一方、速度を落とした状態でバンクに入ると、遠心力が不十分でマシンも不安定になる。スピードが出ていない場合やスピードを出すことが怖い初心者の方は、イン側を走ると良いだろう。

しかし、雨が降った後のイン側を走る場合は、一番内側ではなく、少し中央寄りがおすすめだ。なぜなら、傾斜のついたコーナーに雨が降ると、高いところから低いところに雨水が流れていく。低いところ、つまりイン側が最後まで水が長く溜まり、ぬかるんでいる危険性が高い場所となる。そのリスクを知らずに走ると、ハンドルが取られたり転倒にもつながっていく。その危険性も予測して、路面状況を見極めて、走るラインを選ぶ必要がある。

刻一刻と路面状況が変化し続けるオフロードだからこそ、その時々の路面状況を確認しながら走ることが重要である。これこそがオフロードの奥深さ。ぜひこの奥深さを楽しんでみてほしい。

次回予告  ジャンプに挑戦してみよう!

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